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著 書
武田智亨 プロフィール
1951年 滋賀県生まれ。
1970年 本願寺で得度を受ける。大学卒業後、教職を経て1980年 中近東、中東、中国などを1年半にわたり放浪。 現在、浄土真宗 東京・熟柿庵 庵主、彦根・西福寺 住職。 著書に『中国ひとり旅』(連合出版)、『熟柿庵だより』(東京図書出版会)。翻訳書にジェシー・マッキニー著『車椅子の上の心』、ティック・ナット・ハン著『理解のこころ』などがある。 東京・熟柿庵ホームページ リンク 逢人舎 ブログランキングへ 登録しました。 ↑ぜひ、応援クリックを お願いします。 記事ランキング
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第六章 バラとごみ
《汚れているということもなく、汚れを離れたものでもない》 汚れと清浄、不純なものと純粋なもの これらは私たちが頭に思い描く概念です。 花瓶に生けてある、切ったばかりの美しいバラは清らかで いい匂いがします。 純粋で新鮮です。 それは清浄なイメージをかもしだします。 その反対がゴミ箱です。 いやな匂いががして 腐ったものでいっぱいです。 でもこれは、表面を見て判断しているだけのことです。 ちょっと想像してみれば、 その清らかなバラは、五日か六日もたてば ごみになってしまうことがわかります。 いや、五日も待つことはありません。 真実の眼をもってすれば、 たった今、その清らかなバラに、 ごみとなった姿をみることができるのです。 そして一方、 ごみ箱のごみは数ヶ月後には、おいしい野菜や あるいはバラにさえ 姿を変えているかもしれないのです。 あなたが、もしすぐれた有機栽培のお百姓さんで、 なおかつ 菩薩の眼をもっているなら、 バラの花を見れば、 そこにごみを見てとることができるのです。 バラとごみは不可分存在なのです。 バラなくしてごみは有り得ず ごみなくしてバラは存在しません。 バラとごみは 互いに必要不可欠の存在なのです。 バラとごみの価値は同等なのです。 ごみはバラと同じ尊さをもっているのです。 こうして 汚れと清浄の中身を注意深く洞察していくと、 再び、不可分存在の概念に戻ってきます。 中部阿含経の中に、 世界はどのようにして存在するようになったか ということに関する短い一節があります。 非常にシンプルで わかりやすく それでいて、味わい深い文節です。 『 これあり それあるが故に これなし それなきが故に これはこれの如し それがそれの如き故に 』 この文節は 存在の根源に関する 仏教の根本の教えです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 私は時々思います。 どうして、人間には好き嫌いの感情があるのだろうと。 食べ物にしても、ある人にとっては好物であるものが 別の人には苦手な食べ物がある。 ある人にとっては美しいと思えるものが 別の人にとっては大したことがないものもある。 切りたてのバラは全ての人にとって気持ちいいものだろうか 善いとか悪いとか、好きとか嫌いとか、気持ちいいとか悪いとか、 美味しいとかまずいとか、 人間の感情は、決して一つのものさしでは測れない こうした感情はどうして生まれるのだろうか そんなことを時々思います。 この文節を読んで、またそんなことを考えてしまいました。 上記のロゴマークへの クリックをよろしく お願いします
by jyukushian
| 2008-12-07 23:20
| ティック・ナット・ハン氏
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Comments(3)
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今宵の月
at 2008-12-09 10:37
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十人寄れば気は十色 といいます
人間の感情は人の数だけ有ると申せましょうか 輪廻転生の世界を 理性では理解できても 感情が納得できない・・・と言う事もあります 「人間の有限の能力で全てを納得したがる」という 寛弘先生のことばは 有限の能力だからこそ、全てを知ろうと努力する人間の知への欲望を あらわしているように想います でも私は 知への欲望・渇望こそ 自然科学の進歩の原動力になったと考えています だからと言って、その科学の進歩は無条件に 人間に幸福を与えるものでは無い ということも知っています 有限の能力を知りつつ そのなかで 適当に現実と折り合いをつけて とりあえず納得して、生きていく というのが 普通の人間(市井の人)の生き方なんでしょう 大きすぎる脳をもって生まれた 人類の宿命のように想われます
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jyukushian at 2008-12-09 22:28
唯識という仏教哲学の勉強会で
担当者が最初に、参考書として紹介したのが 茂木健一郎のクオリアという脳の話でした。 茂木健一郎の研究対象はとても興味深いものですが おそらくついには挫折するに違いないと 私は勝手に思っているのです(笑)
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今宵の月
at 2008-12-10 11:19
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茂木健一郎という人の本は読んだこともありません
なんとなく 胡散臭い感じがするので・・・・・ でも唯識論の勉強会で 脳の本を参考書にするなんて 興味深くおもいます お寺さんて実に勉強家なんですね 図書館にあったら その本読んでみたいですが 実をいうと 脳の本なんてまったく興味がわいてこないのです 読了するのに苦労しそう(笑)
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