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著 書
武田智亨 プロフィール
1951年 滋賀県生まれ。
1970年 本願寺で得度を受ける。大学卒業後、教職を経て1980年 中近東、中東、中国などを1年半にわたり放浪。 現在、浄土真宗 東京・熟柿庵 庵主、彦根・西福寺 住職。 著書に『中国ひとり旅』(連合出版)、『熟柿庵だより』(東京図書出版会)。翻訳書にジェシー・マッキニー著『車椅子の上の心』、ティック・ナット・ハン著『理解のこころ』などがある。 ![]() 東京・熟柿庵ホームページ リンク 逢人舎 ![]() ブログランキングへ 登録しました。 ↑ぜひ、応援クリックを お願いします。 記事ランキング
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アナンダはそれを見て苦しみました。
仏陀は急いでマーラのもとへ行き、 彼にお辞儀をし、 この上ない温かい心で彼の手を握り締めました。 そして 「お元気ですか。どのようにお暮らしですか、お変わりはありませんか」 とマーラをいたわりました。 マーラはひと言も返事をせず黙ったままでした。 仏陀は彼を洞窟へ案内し、 自ら椅子を持ってきて彼に腰掛けるよう勧めました。 そして アナンダに、二人分のハーブ茶をつくってもってくるように言いました。 アナンダは 「私の師、仏陀のためなら一日に百回だってお茶を入れるのをいとわない だけどマーラのためというのは気がすすまない」 心のなかではそう思ったのですが、 これは師の命令ですから拒否できるはずはありません。 彼は師と、師の友人になりすましているマーラのために ハーブ茶をつくりにいきました しかし 作っている間、この二人の会話に耳をそばだてていました。 仏陀はとても穏やかな調子で何度もマーラに尋ねました 「お元気にしておられましたか? あなたがやっておられることはうまくいっていますか?」 マーラは言いました 「いや、全然だめなのです。 私はもう自分がマーラ〔悪魔)でいることに疲れました。 私は何か別のものになりたいのです。」 それを聞いていたアナンダはびっくりしました。 マーラの声が聞こえてきます 「実はマーラでいるということは、それほどたやすいことではないのです。 話をする時は相手を陥れるように話をしなければならないし、 また何かをする時には 狡猾に悪人のように振る舞わなければならないのです。 そういうこと全てに私は疲れてしまったのです。 でも、それらはまだ我慢できます。 私が一番耐えられないのは弟子達のことです。 彼らが今、話題にしていることと言えば 社会の正義についてであり、 平和、平等、自由、我の否定、非暴力についてなのです。 それらすべてが私には我慢できないのです。 そんな話などマーラ〔悪魔)である私にはうんざりなのです。 それら全部ひっくるめて、あなたに差し上げたほうが余程いいのではないかと 思っているのです。 私はもう他の何ものかになりたいのです。」 話を聞いていたアナンダは恐怖で体が震えてきました。 ![]() 上記のロゴマークへの クリックをよろしく お願いします
by jyukushian
| 2009-05-24 17:09
| ティック・ナット・ハン氏
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