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著 書
武田智亨 プロフィール
1951年 滋賀県生まれ。
1970年 本願寺で得度を受ける。大学卒業後、教職を経て1980年 中近東、中東、中国などを1年半にわたり放浪。 現在、浄土真宗 東京・熟柿庵 庵主、彦根・西福寺 住職。 著書に『中国ひとり旅』(連合出版)、『熟柿庵だより』(東京図書出版会)。翻訳書にジェシー・マッキニー著『車椅子の上の心』、ティック・ナット・ハン著『理解のこころ』などがある。 ![]() 東京・熟柿庵ホームページ リンク 逢人舎 ![]() ブログランキングへ 登録しました。 ↑ぜひ、応援クリックを お願いします。 記事ランキング
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マルティン・ハイデッガーさん、こんにちわ
最近、縁あってあなたに関する本を読んでいます。 20世紀最大の哲学者と言われ、 難解この上ない哲学者と言われ、 一時期ナチスの党員になって非難もされて、 いろんな面をもつハイデッガーさん、 その上、 残念ながら私はドイツ語が理解できず、 その上、 あなたの著書は ドイツ語だけでなく、ラテン語で表現されたり、 古代ギリシア語がつかわれたり、 ドイツ人でさえ理解するのが難しいと言われています。 日本語訳された著書を読みかじっても、何が書かれているのか 皆目見当がつきません。 一体どのような人物だったのか、何を考えていたのか、 なかなか掴みづらい存在なのですが、 幸いにも 日本には、あなたの主著「存在と時間」を 読み説くのに生涯をかけた偉大な日本の哲学者がいました。 木田元さんという方です。 彼は、昨年亡くなられたのですが、 あなたに関する様々な解説を書いておられます。 彼は、 あなたの「存在と時間」の本を読みたくて 哲学を学んできたという奇特な方でした。 だけど、その本を理解するには、 それこそ、ギリシアのソクラテス以前のヘラクレイトスといった哲学者から プラトン、アリストテレス、そして中世のスコラ哲学、 はたまたデカルトに至るまでの それこそ西洋の哲学史ぜんぶを理解しなければ あなたを理解することができない、ということで 木田氏はそれらを全部網羅し、気がつけば日本を代表する哲学者になっておられました。 彼は 「哲学入門」という本の中で、 「この本は、哲学とはどういうものか、を知りたい人のための入門書ではない。 世間には、哲学とは関係なく人生を過ごせる人が大半で、 その中の一部だけど、100人に一人ぐらいの割で 哲学に否応なく興味を持って、そのことを学ばなければ 気が落ち着かないという人種がいる。そういう人のための入門書である。 哲学に関わることなく人生を過ごせればそれに越したことはない」 と語っていたように思う。 木田氏の哲学のキーワードは「反哲学」 ハイデッガーさんが、「プラトン以後近代にいたるまでの哲学は 云わば、ヨーロッパの特殊な世界認識の在り方に過ぎない。 それを形而上学という。」の言葉を受けて それこそ 古代からのヨーロッパの哲学の歴史を まるでちゃぶ台をひっくり返すように否定的に扱って 現象学のフッサールや実存主義のサルトル、言語学のソシュール、 メルロ・ポンティーなどの近代の哲学者こそが よりリアルに世界と対峙しているとして、 そちらの流れを肯定的に扱っている。 彼らこそ、「反哲学」であり、よりリアルに世界にアプローチしていると 解説する。 その代表格としてハイデッガーさんの哲学があると 木田さんは理解しています。 木田さんの解説の言葉は、とても分かりやすく 繰り返し説明してくれているので、 ハイデッガーさんを理解しようとする私にとっては よき先生です。 要するに人間が思考するという認識のフレームを 大きく変えようとする試み。 だけど、認識のフレームを対象化する私の認識は やはりフレームの中にいるという 最大の矛盾は解けないまま。 ![]()
by jyukushian
| 2015-05-06 20:58
| WEB版 熟柿庵だより
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