ハラリ氏の「サピエンス全史」の上巻を読み終えました。
十万年前から現代にいたるまでのホモ・サピエンス、つまり
我々人間の膨大な歴史を語っています。
彼の歴史的事実を見る視点がたいへんおもしろく、ぞくぞくしました。
たとえば
人間は狩猟採集生活から農耕生活に移行していったことを
歴史の教科書や常識から、それは進歩だとかんがえます。
彼はその常識を覆して、進歩とは云えないと書いています。
狩猟採集生活の長所と農耕生活の短所をあげつらって批判しています。
「農業革命は罠(わな)だったのだ」とも書いています。
狩猟採集生活は、農耕民より様々なものを食べて豊かな食生活だったかもしれない
が、農耕民は穀物ばかりを食べるようになって病気がふえたとか、
農耕によって貯蓄ができるようになり、そのせいで敵をつくり、城壁をつくり、
「私たちと部族の違う彼ら」という概念をつくったとか、
小麦をつくるようになって、一年中天気の心配や、小麦の育つ心配ばかりしなくてはならなくなっただろう、ストレスがいっぱいだったんじゃないかとか
つまり従来の歴史は
無意識のうちに現代という視点にたって、過去を判断しているけど
それは本当に正しいことだろうかと、彼はいう。
もちろん何千年も昔のころに自分の考えや日常を置き換えることは
できないけれど、今いる日常の常識をうたがうことは できるのではないか
ということ。
これはちょっと仏教の哲学にもつながるようにも思える。
下巻どのような展開が待っているのか、楽しみです。